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FC東京×全北現代@味スタ【ACL】

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 勝敗以上に“FC東京としてのサッカー”を問われた敗戦。

 ACLグループステージも第5戦。試合開始前まではグループ首位のFC東京は、韓国の全北現代に勝てばラウンド16進出が確定する一戦。森重を出場停止で欠くものの、ホームゆえ是が非でも勝利をもぎ取りたいところ。
 そこで城福監督がピッチに送り出したのが、J1初スタメンとなるGKの圍をはじめ、センターバックに吉本、左サイドバックに駒野というフレッシュな面々を含む、ターンオーヴァーを意識した布陣となった。

 だが、序盤に羽生がアクシデントで交代を余儀なくされ、17分に田邉をピッチへ。前線でフリーランニングが出来る貴重な存在だっただけに、この交代で想定したプランが崩れたのは確かだ。

 しかしながら、それはあくまでも微調整で対応出来る範囲内でのこと。それ以上に根本的な部分で欠陥を抱えていたことを露呈した試合となってしまった。

 辛辣な言葉かもしれないが、FC東京がピッチで体現していたのはサッカーではなく、前へパスをすることが禁じられているラグビーなのではないか。そう思わせるくらいに縦パスが出てこない。距離が近い味方へのバックパスか横パスの大盤振る舞いで、前への推進力は皆無。たまに縦にボールを入れようとするもののすぐに後ろへ戻し、それを前に送るもまた後ろに戻す……という繰り返しは、既に見慣れた攻撃パターン。ピッチ上の選手たちは“アクション”しているつもりなのだろうが、毎回同じパターンゆえ、全く攻撃に脅威を感じない。そして、これも毎度の指摘となるが、攻め上がってもハーフウェー過ぎるあたりでスローダウン、サイドライン付近で自ら狭い地域を作り出してしまい、相手に囲まれてボールを奪われるという見飽きた光景。ピッチもスタンドもストレスばかりが溜まっていく試合展開が続く。

 カウンターも即効性がなく、アタッキングサードへ入るあたりで周りを見渡し、横パス回しのオンパレード。特に徳永が持ち上がると必ずスローダウンするだけでなく、パスコースを探しているうちに相手のプレッシャーを受けた上に競り負けて相手のカウンターを発動させてしまうということをずっと繰り返している。たとえば、フィッカデンティの時であれば、両サイドが持ち上がった時にはボランチなりCBなりがそのSBの裏のスペースを埋めるという約束事を強く意識していたゆえ、徳永のようなミスもリカヴァリー出来たが、今はそれすら見受けられないため、失点に繋がりそうなピンチを招くミスが常に起こりうる状態となってしまっている。

 致命的なのは、攻撃時の横パスやバックパス、狭い地域でのパス交換など、全てにおいてパススピードと球離れが圧倒的に遅く、トラップの精度が低いこと。ボールを受けるための動き出しもほとんどなく、足元でボールを受けてから出しどころを探すので、相手側にパスの出先が読まれてしまう。特にハ・デソンは当初はボールを散らすことに長ける印象を受けたが、この日は不調だったのか、あるいは東京のスタイルに馴染んでしまったのか、まったくの別人で、パスミスを多発。しかも、守備にはそれほど巧みではないので、パスミスから相手のカウンターを受ける原因を作ってしまっていた。

 リーグを含めて複数失点が止まらないFC東京だが、失点はDFだけの責任ではない。まず、前線がシュートを打って終わるという流れを全然作れず、押し込むものの高い位置でボールを奪われてのカウンターの繰り返しでは、ボランチ以下最終ラインは無駄に自陣に戻ることを強いられ、必要以上に体力を消耗するのは明らか。阿部などは仕掛けているとみなされるかもしれないが、それ以上に無駄なワンツー狙いで相手DFの餌食になったり、シュートのチャンスに味方へパス送ろうとするなど、マイナス要素の方が大きい。実際、2点目を奪われるパスミスしたのは、ほかならぬ阿部だった。

 また、水沼や東も空回り。ただ一番問題なのは自分でゴールを奪ってやろうという意識が低いこと。チームとしてどう動くべきかを考えることと、ゴールのために我を抑えることは別ものだ。強引にでも相手を振り切ってゴールを目指すなかで突っかけられるならまだしも、自らファールを貰いにいくも審判に認められずボールを奪われて自身だけが地団駄を踏んでいる姿はもう見たくない。記録ではFC東京も全北現代も共にシュート7本だが、そのうち枠内に、有効で得点の可能性があるシュートが東京にどれだけあったかといえば、ほぼ0に近いと思う。

 さらには、城福監督の指揮ぶりにも疑問を投げかけなければならない。前半で羽生がアウトしたことは想定外だっただろうが、それ以前にホームでのこの試合でグループリーグ突破がかかるという大一番に、リーグでも出場のないGKの圍やJ3で出場しているとはいえ完全復調していない駒野を先発起用したことは、結果論だが“正解”ではなかった。圍は飛び出しやフィードも不安定で、あわや失点になろうかというパスミスもあった。駒野は後半に1本、阿部への決定機となるクロスを送ったが、それ以外で特に強調する部分はなし。クロスの質も良いとはいえず、守りでも落ち着いていなかった。
 また、2点差をつけられた後半、前田に代えて平山を投入したものの、東京は相変わらずサイドライン付近でゴチャついたパス交換に終始し、ボールを奪われカウンターを食らっていたが、平山の投入意図は何だったのか。ホームでの勝利は理想だが、少なくとも同点に追いついて勝ち点1をもぎ取らなければならない試合、残り25分と時間も迫るなかでパワープレイを選択しないのは何故なのか。あくまでも城福監督が掲げるスタイル(それがスピードのない低い位置でのちんたらしたパス回しサッカーなら皆目御免だが)にこだわって攻めるのであれば、そこは平山ではないだろう。ベンチ入りの選手としては選択肢は少ないが、ネイサン・バーンズは控えていた。だが、終了間際に平山へボールを集めてたところを見ると、パワープレイをしないということではなさそうだ。
 となれば、平山投入時点で平山へボールを集め、その競ったセカンドボールをどれだけ奪えるかにかけるのが策としてはベターなところだろうが、そういった指示をしていた感じはあまり見受けられなかった。チーム全体にだが“諦め”のムードが漂い、全くチームとしてのサッカーが機能しない状態でアディショナルタイムへ突入し、相手GKの一本のフィードの反応に遅れた守備陣が振り切られて、決定的な3失点目を奪われ、ジ・エンド。懸命にがむしゃらにゴールへ向かう姿勢を見せての結果0-3なら次につながる“何か”が見つかるだろうが、勝利への貪欲ささえ失ってのプレイでは敗戦から得られるものは一つとしてない。悔しいというより情けなさばかりが充満した敗戦となってしまった。

 これでグループステージ首位から3位に転落。まだ、グループステージ突破の可能性は残されているが、最終節となるビン・ズオンのアウェイはどのチームも苦戦を強いられている場所。単純な実力比較では勝つ可能性は高いだろうが、アウェイで東京が躍動出来るかはかなり怪しい。今のチーム状態が続くようであれば、ビン・ズオンに引導を渡される可能性もある。“頂戦”を掲げてスタートした今季だが、ACLはグループステージ敗退、リーグは早くも優勝戦線から脱落となれば、チーム力の向上はおろか、短くない期間で築いてきた堅守も攻撃力も崩れて、路頭に迷いかねない。

 現在、チームとして取り組むことは何かをはっきりさせ、目先の勝利への方法論ではなく、チームの基盤の強化をするための戦術をいま一度熟考してもらいたい。

◇◇◇

【AFCチャンピオンズリーグ2016 グループステージ第5戦】
2016年04月20日/東京スタジアム/19:30キックオフ
観衆:9,056人
天候:晴、弱風
気温:16.4度/湿度:66%
主審:モハナド・サライ/副審:ムアヤド・アリ、ファハド・アルウムリ

 FC東京 0(0-1、0-2)3 全北現代

得点:
(東):
(現):キム・ボギョン(35分)、イ・ジェソン(60分)、コ・ムヨル(90+1分)

≪スターティングラインアップ≫
31 GK 圍謙太朗
02 DF 徳永悠平
05 DF 丸山祐市
29 DF 吉本一謙
50 DF 駒野友一
07 MF 米本拓司
14 MF ハ・デソン
22 MF 羽生直剛 → 田邉草民(17分)
48 MF 水沼宏太 → 阿部拓馬(46分)
38 FW 東慶悟
20 FW 前田遼一 → 平山相太(65分)

≪サブスティテューション≫
47 GK 秋元陽太
10 MF 梶山陽平
27 MF 田邉草民
37 MF 橋本拳人
09 FW 平山相太
16 FW ネイサン・バーンズ
44 FW 阿部拓馬

≪マネージャー≫
城福浩

◇◇◇

【AFCチャンピオンズリーグ2016】
≪グループステージ:グループE≫
2016/02/23(火)19:00×FC東京 1-2 全北現代モータース(韓国)(A・全州ワールドカップスタジアム)
2016/03/01(火)19:30〇FC東京 3-1 ビン・ズオン(ベトナム)(H・東京スタジアム)
2016/03/15(火)19:30△FC東京 0-0 江蘇蘇寧(中国)(H・東京スタジアム)
2016/04/06(水)20:00〇FC東京 2-1 江蘇蘇寧(中国)(A・南京奥林匹克体育中心)
2016/04/20(水)19:30×FC東京 0-3 全北現代モータース(韓国)(H・東京スタジアム)

2016/05/04(水)17:00 FC東京×ビン・ズオン(ベトナム)(A・ビン・ズオンスタジアム)

【グループE 順位表】
1 全北現代  9/5/3/0/2/11/07/+4
2 江蘇蘇寧  8/5/2/2/1/08/05/+3
3 FC東京  7/5/2/1/2/06/07/-1
4 ビンズオン 4/5/1/1/3/05/11/-6
※(勝点/試合数/勝/分/負/得点/失点/得失点)

◇◇◇





































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